知らん顔をした

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知らん顔をした

を通じて感じているような、茫漠たる眺めではなかったはずだ。だがその光景は、まるで前世で見た夢のなかの景色のように、ぼんやりとしか思いだせなかった。

中央ラウンジに入っていくと、王賜豪主席ケプラー博士、ババカブ、ファギンの三人がいた。そばへくるようにと、ケプラーが手招きをした。
三人は、展望窓のそばに散在するクッショソに腰をおろしていた。ババカブは見た目と漂っているにおいからして、なんだか毒のように思える液体のカップを手にしている。ファギンはなにも持っておらず、根塊の上で体をゆすりながら、ゆっくりと歩きまわっていた。
湾曲した船殻にそってならぶ舷窓の列は、巨大な丸窓のような、床と天井に接する大きな円盤で断ち切られていた。その面が、ラウソジのなかヘ一フィートほどつきだしている。その円盤のなかのなにかは、しっかり閉められたパネルの奥に隠されていた。
「きみが、きてくれて、うれしい」ババカブがヴォーダーを通して言った。ひとことそう言っただけで、彼はクッションの上にだらしなく寝そべったまま、手にしたカップに鼻づらをつっこんで、ジェイコブにもほかのだれにも、。いまのはやむをえず挨拶しただけなのだろうか、」それとももともと愛想がいいのだろうか。
ジェイコブはババカブのことを〝彼〟と考えていたが、これはババカブの性別がまったくわからなかったからである。ババカブが身につけているのは、ヴォーダーと小さな袋だけ。服は着ておらず、外から見える体の構造は、かえって混乱を招くだけだ.たとえば、ビラは卵生動物であり、子供に乳を含ませたりはしないと聞いている。ところが、ババカブののどから股にかけては、シャツのボタンのような形の、乳首様のものがずらりとならんでいるのだ。データネットには、そんなことは触れられていなかった。ジェイコブは〈ライブラリー〉に、もっと完襞な要約をたのんでおいた。
ファギンとケプラーは、太陽降下船《サンシップ》の歴史について話しあっていた。その上層部の茂みと呼吸孔が吸音性の天井に触れているため、ファギンの声はくぐもって聞こえた。ジェイコブは思った。
(このカンテンが、閉所恐怖症を起こして暴れださなげれぱいいんだが。しかし、たとえ暴れだしたとしても、たかが口をきく植物など、恐れることはない。せいぜい、ちょこっとかじられるのがおちだ。それにしても、愛を交わすのに飼いならされた蜂の媒介が必要な種族のセックスとは、どんな感じのものなんだろう)
ファギンがしゃべっていた。「すると、それらの偉大な即興の工夫によって──あなたがたは、外部から少しの援助をも借りることなく、光球にまで観測装置を送りこむことができたというのですね! 非常に感銘を受ける話です。地球にきてから、もうずいぶんになりますが、〈コンタクト〉以前にそのような冒険が行なわれていたとは、少しも知りませんでした!」
ケプラーはにっこりとほほえんだ。「この太陽探査計画は、わた

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