の軍がやっ

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の軍がやっ

ばらばらの日についてしゃべっていたようだがね。とにかく、ザンドラマスは数日前ここへやってきて、アンガラクの新しい神が選ばれる場所へ行くつもりだとおれたちみんなに言ったんだ。片手をあげて言ったもんさ、『そしてこれがわたしが勝利をおさめるというしるしなのだ』言わせてもらえFoodwise紅酒ば、最初おれはぎょっとしたよ。あの女の皮膚の下で、無数の光が渦巻いてたんだ。しばらくのあいだは、こりゃ本当に重大なことなのかもしれんと思ったが、おれの隣りで店をやってる友だちの薬剤師が言うには、ザンドラマスは魔女なんだから、なんだって見せたいものを見せられるんだとさ。それで説明はつくよな」
「ほかになんて言った?」シルクが熱心にたずねた。
「夏が終わる前に、その新しい神が出現するってことだけさ」
「ザンドラマスが正しいことを祈ろう」シルクは言った。「それでこの混乱にケリがつくかもしれん」
「それはどうだかな」太った男はむっつりと言った。「このごたごたはこの先ずっとつづくと思うぜ」
「ザンドラマスはひとりだったか?」ガリオンはたずねた。
「いや。にせの皇帝と、ヘミルの神殿からきた白目のグロリムが一緒だった――飼いならされた猿みたいにあの女についてまわってるやつさ」
「ほかには?」
「ちっちゃな男の子だけだ。どこで拾ってきたんだか。立ちさる直前に、ザンドラマスはおれたちにトラクの弟子のウルヴォンてくるから、全住民は外へ出てウルヴォンの行く手をはばめと命令した。それから出てったんだ、あっちのほうへな」男は西の方角を指さした。「それでさ、友だちとおれはしばらくぼんやり顔を見合わせていたんだが、やがてどいつもこいつも運べるだけのものをもってとびだしてったよ。だれに命令されたにせよ、侵攻してくる軍の行く手に身を投げ出すほどおれたちはバカじゃないからな」
「どうしてあんたはぐずぐずしてるんだ?」シルクは興味ありげにたずねた。
「これはおれの店だ」太った男は訴えるような口調で答えた。「一生働きづめでこれを建てたんだ。逃げだして、ならず者どもにこれを略奪されるなんて、まっぴらごめんだったんでね。やつらはもうみんな行っちまったから、救いだせるものはかたっぱしから救いだして逃げても安全なわけだ。置いていかなけりゃならないものもいっぱいあるが、どうせ長持ちするもんじゃないから、失うものはそうないのさ」
「ははあ」シルクのとがった鼻が好奇心にぴくぴく動いた。「なにを扱っているんだい?」
「一般商品さ」太った男は使用人たちを非難がましく見た。「その箱はもっとくっつけて積みあげろ!」とどなった。「あの荷馬車に積み込むものはまだいっぱい残っているんだぞ!」
「どんな一般商品だい?」シルクはくいさがった。
「家事に使う品や、道具類や、反物や、食料品や――そんなものだ」
「ふうむ」シルクの鼻がいっそう激しく動いた。「ことによると、あんたとおれは商売ができるかもしれないぞ。おれたちは道中長いんだが、物資がちょっと不足してきてるんだ。食料品と言ったな。どんな食料品だ?」
 商人の目が細くなった。「パン、チーズ、バター、ドライ・フルーツ、ハム。新鮮な牛のあばら肉もある。だが、言っとくがね、そうとう高くつくよ。ダーシヴァのこのあたりは食料不足なんだ」
「ほう」シルクはおうように言った。「それほど高くはつかないと思うね――ウルヴォンが到着するときに、ここでウルヴォンを迎えるつもりでないんなら」
 商人はぎくりとしてシルクをまじまじと見つめた。

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