無限の領域からの

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無限の領域からの

黄昏が迫ったとき、抜けるように青い空に対する妙な怖気《おぞけ》が心にしのびいったため、雲でも群がってくれればいいのにとぼんやり思ったからだ。
 わたしの意見を明ら柏傲灣呎價かにせよとはいわないでいただきたい。わたしにはわからないのだ――それだけしかいえない。質問をする相手はアミ以外に誰もいなかった。アーカムの住民は不思議の日

々について話してくれようとはしないし、石質隕石と不思議な色の球体を目にした三人の教授は、すべてもう死んでしまっているからだ。球体はほかにもあった――すべてはそこにかかっている

。一つは自ら育って逃げだしたにちがいなく、おそらく遅れをとったものがいま一つあったのだろう。明らかにそれがまだ井戸の底にいるのだ――わたしは有害な井戸の縁の上を見たとき、太陽

の光がどこか普通でなかったことを知っている。農夫たちは胴枯れ病が一年に一インチずつ広がっているというので、いまですら恐ろしい成長というか養分の吸収というものがおこっているのだ

ろう。しかしそこにどのような悪魔が孵化《ふか》していようと、何かにつなぎとめられているにちがいない。そうでなければ速やかに蔓延《まんえん》しているはずだからだ。空をつかもうと

しているような木々の根に結ばれているのだろうか。最近のアーカムの風説の一つには、異常にも夜に輝いて揺れる樫《かし》について、あれこれ取り沙汰するものがある。
 正体が何なのかは神以外に知る者はない。物理的にいって、アミの描写するものはガスだろうと思うが、このガスは、わたしたちの宇宙のYumei好用法則には従わないものなのだ。天文台にある望遠鏡や

写真乾板で輝く姿を見せるような、恒星や惑星の生みだしたものではない。天文学者が計測したり、広大にすぎて計測できなかったりする、そんな次元や運動を備えた宇宙からの息吹《いぶき》

ではなかった。単なる宇宙からの色にすぎなかったのだ――わたしたちの知る自然を超越する、まだ形成されていない使者、わたしたちのおびえた目のまえに黯黒《あんこく》

の超宇宙の深淵を開けて、脳に強烈な衝撃をあたえて麻痺させる、そんな領域からの使者だったのだ。
 アミがわざとわたしに嘘をついたということは、ありそうにもないし、アミの話が街の者によって警告されていたような、狂気のたわごとであるとも思えない。あの隕石とともに恐ろしいもの

が丘と谷にやってきたのであり、その恐ろしいものは――どれくらいの大きさなのかはわからないが――いまもそこにとどまっているのだ。水が満々とたたえられるのを見れば、わたしはうれし

い気持になるだろう。それまでアミに何もおこらないことを願う。アミは多くを見すぎてしまった――それによる影響がひそかに進行しているのだ。どうしてアミはよそに移ることができないの
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だろう。瀕死《ひんし》のネイハムの言葉を何とはっきりおぼえていることか。「逃げられるもんか……引き寄せられて……近づいてきとることがわかっとっても、どうすることもできんのだ…

…」思えば、不気味な言葉ではないか。アミは善良な老人なのだ――貯水池の建設にたずさわる作業員が仕事にとりかかるころ、主任技師に手紙を書いて、アミに目を光らせてもらわなければな

らない。わたしはどうあっても考えたくないのだ。あのアミが、わたしの眠りを執拗に悩ませる、色は灰色、歪んでもろく、ばけものじみたものになりはてた姿など。

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